約 1,012,517 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2788.html
トリステイン魔法学院で春の召喚の儀式が行われている。 順調に行われていた儀式の中で、たった一つだけ問題が起きていた。 ルイズ・フランソワーズが召喚したのが、人間だったのだ。 「なんだ?ここは。今まで供の者と街道を歩いていた筈なんが…」 体格が立派であるが。妙な格好をした男だった。 髪型は男でありながら長髪で結っていて、額には妙なバンダナを巻いている。 服装はトリステインで見たことのないもので、腰にはこれまた見たことのない剣を帯剣していた。 少なくとも貴族の外見ではない。 念のため本人に聞いてみたところ、自分は孤児なので貴族かどうかは判らない。 育ての親は平民だ。丁度、一仕事終えて育ての親の元に返ろうとしていた所、変な鏡が目の前に現れて気が付いたらここに居た。 との事。 使い魔については 「衣食住を保障してくれるなら、引き受けよう」 とアッサリ承諾した。 むしろ、ルイズの方が渋々という感じであった。 「何で平民なんかを…」 まあ、無いよりマシだし、使用人代わりにはなるだろう。 それにコントラクトを済ませないと二年生にはなれないし… そう考えてこの大柄な平民に、大事な大事なファーストキスを与えたのだった。 だが、ルイズの期待は裏切られた。 その男、ルイズがいくら言って仕事をしない。 下着を洗えと言っても「後で」と答える。 服を着せろと言っても面倒だと言う。 粗末な食事を与えても、元々素食だったので気にしない。 逆に、 「鶏をその様に食べるとは…見てるだけで吐き気がするなぁ」などと言い放つ。 食事を抜きにしてやったら、日がな一日ルイズの部屋でゴロゴロしだして教室にも顔を出さなくなった。 怒って殴ってみても、相手は体格のいい男、ルイズの拳が痛くなるばかり。 ならばと鞭で叩こうとした所、鞭を奪われ窓の外に投げ捨てられた。 キレて爆破してやろうとしたら、杖まで窓の外に捨てられてしまった。 「ああああ、あんたが投げたんだからあんたが取ってきなさい!!!!」 「…後で」 その後数時間、いつ今で待っても取りに行く様子も無く、仕方が無いので誰にも見られぬよう闇夜にまぎれて杖を探すルイズ。 「…種族も最低なら素行も最低……殺してサモンやり直そうかしら?」 真面目に物騒なことを悩み始めたある日、事件は起きた。 その平民が、香水ビンを拾って珍しそうに手で弄んでいた為に、ギーシュの二股がバレてしまったと言うのだ。 挙句決闘を申し込まれた。 近くでそれを聞いたメイドは「あの人大丈夫かしら…」等と心配していたが、 まさかギーシュも殺すまではしないだろうし、大柄で丈夫そうな男だから平気だろう。むしろ、多少痛い目にあって反省した方がいいわね。 だが、またもルイズの期待は裏切られる結果となった。 「僕はメイジなので、このワルキューレが代わりにお相手しよう」 ヴェストリの広場でキザったらしく薔薇の造花を構えたギーシュが言う。 言われた平民は驚いた。 「代わりでもいいのか?!では俺は面倒なので…」 面倒なので…?なに言ってるんだこいつ?殆どの貴族はそう思った。 「こいつに代わりに相手をさせよう」 こいつと言われた物を見て、ギーシュは悲鳴を上げる。 「ヴェ!ヴェルダンデ!?何してるんだ!!?」 平民の足元の地面を突き破ってギーシュの使い魔が現れた。 「ほれ。かかれモグラ」 平民のその一言でヴェルダンデがギーシュに突進する。 哀れギーシュは自分の使い魔を攻撃する事が出来ず、全身引っかき傷だらけになって敗北した。 さらに、決闘の商品として、寝具(ベッド除く)を一式奪われてしまったのだった。 ルイズは自分の使い魔を多少見直した。 他人の使い魔を使役できるとはただの平民ではないのだろう。 だがどうやったのか? 「ただ親しくなっただけだ」と言ってはぐらかされてしまった。 挙句、全然反省していないのでルイズの言うことも全然聞かない。 やっぱり死んだ方が良かったかも。 再度そう考えたルイズだった。 次に使い魔が活躍したのはフーケ討伐の時であった。 悪党の討伐ということで、流石に怠惰な使い魔も、渋々ルイズの言う事を聞いて参加したが、道中馬車の上では寝てばかり。 さらに宿敵ツェルプストーに膝枕されている始末。 怒ったルイズと、それをからかうキュルケと怒鳴り合いを始めても、面倒ごとに首は突っ込みたくないとばかりにタヌキ寝入りされた。 フーケが目撃された小屋に入ると、盗まれたという破壊の杖はアッサリ見つかった。 だがそこをフーケ操る巨大なゴーレムに急襲された。 全員が逃げ出そうとするなか、破壊の杖を持ちゴーレムに戦いを挑むルイズ。 しかし。 「なんで?!何で何も起きないのよ!!」 巨大なゴーレムの巨大な足が、踏み潰さんと小さなルイズに迫る。 後に、その時起きたことを聞いた魔法学院の教師たちは、一様に首を捻ったと言う。 ルイズが踏み潰されそうになった刹那、何かがでゴーレムの足の下に飛び込んできたのだ! それは馬だった!! ルイズ一行が乗って来た馬車を引いていた馬が、物凄い勢いでゴーレムの下を駆け抜け、ルイズを咥えて助け出したのだ!!! ………………。 その場にいた全員が我が目を疑った。 いや一人を除いて。 「うむ!無事だなご主人」 ルイズの使い魔が主人に声を掛ける。 「はい?」 馬の口から地面に落とされたルイズは、状況を把握しきれて居なかった。 主人の無事を見届けるとルイズの使い魔は馬車馬にこう命令を下した。 「次はあの化け物だ!行け!!」 信じられないことに、馬車馬によって、30メイルはあろうかと言うゴーレムが、滅茶苦茶に踏み砕かれて、木っ端微塵に粉砕された。 さらに、小屋に残っていた臭いからロングビルがフーケだと突き止めた馬車馬によって、フーケは捉えられた。 詰まる所、ゴーレムもフーケも名も無き馬車馬によって討伐されたのだった。 学園に戻って後、ルイズ、キュルケはシュバリエの称号を。 タバサは精霊勲章を。散々教師たちの頭を悩ませた結果、馬車馬にはサトウキビ50kgが授与される事となった。 因みにルイズの使い魔は、朝食を毎朝部屋に運んでもらう約束を取り付け、満足してさっさと部屋に戻ってしまった。 この討伐劇でルイズは使い魔がどうやってヴェルダンデや馬を操った秘密に気がついた。 あの使い魔は馬車を離れる際、馬に何か食べさせていたのだ。 どう聞こうか悩んだ末に、部屋の床にギーシュから分捕った布団を敷いてゴロゴロしている使い魔にストレートに聞いた。 「ねえ、あの時馬に何を食べさせてたの?」 「あの時?…フーケ退治の時か。これの事だな?」 アッサリ見せてくれた。 それはピンポン玉大の丸薬だった。 何の薬か聞いて見たが、薬ではないとはぐらかされただけだった。 それから数週間、相変わらず怠惰な日々を過ごしていた使い魔だったが、ある日、思いも寄らぬ事件巻き込まれる。 アンリエッタ王女が学園を訪れたのだ(その時、使い魔はルイズの部屋で昼寝していた)。 夜、ルイズが妙にソワソワしている横で、ダラダラ寝転がっていると、アンリエッタ王女がルイズに会いに来た。 一応、姫ということもあって、かしこまったルイズの使い魔。それを横目にルイズとアンリエッタは昔話に花を咲かせ始める。 所が、いつの間にか、戦争中のアルビオンに、アンリエッタ王女が送った恋文を取りに行ってくれという事に成って居るではないか。 ルイズは行く気満々である。 「ルイズの使い魔殿。わたくしの大切な友人を守ってくださいね」 と、姫直々のお言葉。 それに対する使い魔の答えは。 「面倒だから嫌だなぁ」 まさか姫様の命令を面倒で片付けるとは!! これにはルイズも空いた口が塞がらない。 その後真夜中ごろまで、ルイズとアンリエッタ、そしていつの間にか乱入してきたギーシュに説得されて、渋々行くことになった。 翌日、珍しく早起きした使い魔は厨房で何かを作っていた。 聞けばあの丸薬を作っているとの事だ。 厨房の材料で出来るの?と疑問に思うルイズだが、まともな答えは期待できそうに無いので聞くのは止めた。 ギーシュと、ルイズの婚約者のワルドと合流し、ラ・ロシェールへ。 出発から数十分後、ギーシュは一人馬を走らせ、その上で泣いていた。 その前方数キロの地点を飛んでいるワルドはルイズに聞いた。 「君の使い魔が乗っている馬はどこの名馬なんだ!?グリフォンが追いつけないなんて!」 「ただの…馬車馬です」 途中色々あってタバサとキュルケも合流し、無事到着。 船が出るのが明後日ということになり、丸一日ゴロゴロする使い魔。 翌朝、ワルドが申し込んだ決闘は「後で」と言って一応承諾した。ように見えたが。 ワルドがルイズから、「後で」言われた時はいくら待っても絶対にやらないと教えられたのは、既に暗くなってからであった。 夕食をとっていると謎の傭兵団に奇襲を受けた。 「このような任務は、半数が目的地に辿り着ければ、成功とされる」 ワルドの言い分を聞いてルイズの使い魔が頷く。 「なるほど…おいギーシュ」 「はい!」 「面倒だし、この程度の連中、モグラとお前だけで十分だな」 そう言うと例の丸薬を、床を割って現れたヴェルダンデに食べさせる使い魔。 そしてそのまま残りの全員が行ってしまった。 ギーシュは…その場に一人残され……恐怖ではなく、寂しさで泣いた。 その後、海賊に襲われたり、実は海賊の頭がウェールズ王子だったりしてアルビオンに到着。 アンリエッタの恋文を取り返したはいいが、ルイズに悩み事が一つ。 「ワルド様に結婚を申し込まれたわ…明日ウェールズ様に式を挙げてもらう事になったのよ…」 あてがわれた部屋でゴロゴロしている使い魔に何となく相談してみるルイズ。 こんな奴に言ってもあんまり意味は無いだろうけど、等と思っていたら 「止めた方がいいぞ」 と即答された。 「あいつは実はレンコン何とかの間者で、その目的はウェールズ殿の首とアンリエッタ姫の手紙、ご主人と結婚する理由は虚無の使い手のご主人を良い様に扱いたいからだそうだ」 それを聞いたルイズは… プッツ~ン 切れた!! 今までただの怠け者だと思ったら、とんでもない大法螺吹きだったのね!! そのままの勢いで翌日、式を挙げる事になった。 が、途中で使い魔の言葉が気になりだし、やはり式はトリステインに帰ってから挙げようと言って見ると、ワルドが本性を現した。 ワルドのエアニードルに胸を貫かれるウェールズ。 その時ルイズの使い魔は!? ボケーと見ていた。 「な!何でこうなると判ってたのに助けなかったのよ!!」 「死にたがってる奴を助けるなんて面倒な事はしないよ」 ごもっとも。 そこへ偏在を繰り出すワルド。 スクウェアクラスが四人に対して、こちらはキュルケとタバサのトライアングル二人と、爆発だけのルイズ、そして今まで自分じゃ戦わなかった使い魔のみ。 正に絶体絶命の状況だが、全然焦らない使い魔。 「そちらが四人で来るのであれば…」 そう言って例の丸薬を取り出す。 「こちらはな!一つ食べれば十人力よ!!」 そういって丸薬を食べたのだ!! 「これで四人に負ける筈が無い!!」 「フン」 鼻で笑うワルドたち 「それは…力を増す秘薬か?なるほどガンダールヴに相応しい能力だな。だが!それならば遠距離攻撃すれば済むだけのこと!!」 そう叫び距離をとるワルド。 だがしかし、今正に始まろうとしていた風のスクウェア四人と伝説のガンダールヴの戦いはまったく予期せぬ形で決着を迎えた。 ドカーン!! 突如、 天井を破って、 ワルドのグリフォンが飛び込み、 そのまま偏在たちを蹴散らし、本体のワルドをアッサリと捕まえたのだ!! 「ねぇタバサ?何が起こったの?」 「理解不能」 「ちょっと!!これはどういう事!!?説明しなさい!!」 「何、簡単な事。このグリホンとは来る途中の船で知り合いになっていたのだ。ワルドのたくらみも全てこいつが教えてくれたのだぞ」 それ以上の追求は、誰もしなかった。 その後、縛ったワルドをグリフォンに持たせ、そのグリフォンに乗ったルイズの使い魔と、残りの三人を乗せたタバサの風竜は、何だか釈然としないままトリステインに帰還したのだった。 それから数週間後、ルイズはアンリエッタ王女と成り上がりのアホとの結婚式で詔を詠む大役をまかされていた。 始祖の祈祷書と使い魔の言った言葉から、自分が虚無の使い手と判ったが結局何も浮かばぬまま式当日になってしまった。 だが、突如アルビオンが戦線布告し、現在タルブ村で交戦中との知らせを受け式はとりやめ。 虚無の力を使えば何とかなるのでは?!と考えたルイズはタバサに頼み、風竜で一路タルブ村へ。 だが、そこで見た光景はこれまた想像を絶するものであった!! 神聖アルビオン誇る巨大戦艦レキシントンが、何者かによって撃墜されていたのだ。 見ると、草原に落ちで轟々と炎を吹き上げる船からルイズの使い魔とワルドのグリフォンがやってくる。 「ああああ、あんたいつの間に私たちを追い越したのよ?!!!」 呆れ顔の使い魔。 「三日も前からこの村にいるぞ」 そういえば、詔の事で頭がいっぱいで気が回らなかったがここ数日こいつの顔を見ていない気がする。 何故この村に居たのかと問うと、シエスタというメイドと結婚するため、親の了承を得に来ていたとか。 「何それ?!そんなの初耳よ!!」 「そりゃ当然。言ってないから」 何でも、ギーシュと決闘した日の前の日、シエスタがモットとかいう悪党にさらわれて、手篭めに成りそうに成った所をヴェルダンデと助けたと言う。 「そっちの話も全然聞いてないわ!」 普段怠惰な使い魔も、さらわれたとあっては一大事と飛んで出たそうだ。 だから気づかなかったのだろうと。 なるほど、ギーシュと決闘の時にあのメイドが心配していたのは、こいつじゃなくてギーシュの方だったのか。 「それに悪党のモットって…ジュール・ド・モット伯の事じゃないでしょうね?」 「さあ?モグラにペコペコ土下座していたので、貴族には見えなかったな!」 頭が痛くなるルイズであった。 そんなこんなで色々あって今、ルイズの使い魔はモグラと馬車馬とグリフォンと共にアルビオンで7万の軍勢を待ち構えている。 『何を為さっているのですか?』 馬車馬がルイズの使い魔に聞いた。 「これが無いと、気分が出ないんでな」 そういって使い魔は地面に置いた白い旗指に何か文字を書き始めた。 『七万相手に勝てるとお思いですか?』 ヴェルダンデが聞いた。 「そりゃあ勝てるだろう」 旗に文字を書きながら答える。 「この黍団子は、一つ食べれば十人力、二つ食べれば百人力、三つ食べれば千人力よ。四つ食べればきっと万人力だ!それになあ…」 ふと文字を書く手を止める。 「前の戦いの時も、絶望的な状況から勝利を掴んだのだ」 『前の戦とは何ですか?』 グリフォンが聞いた。 「この国に来る前になぁ」 最後の文字を書きながら答える使い魔。 「犬、猿、雉と鬼の軍勢を退治した時の話よ。よし出来た!イザ出陣だ!!!」 そう叫び駆け出すルイズの使い魔と、お供の三匹。 背中に立てた旗指には大きく 【日 本 一 の 桃 太 郎】 と書かれていたそうな。 こうして、無事七万の兵を蹴散らした桃太郎とお供の者達はアルビオンのお宝を手に入れトリステインに帰り、 桃太郎はシエスタと末永く幸せに暮らしましたとさ。 めでたしめでたし。
https://w.atwiki.jp/otassya2/pages/4668.html
陰陽師 攻撃術 式神召喚・参 目録 召喚術・伍 必要気合 1120 必要アイテム 呪符 ウェイト 2 効果時間 式神が倒れるまで 発動準備 なし 使用場所 戦闘専用 効果 ランク3の式神を召喚し、ともに戦わせる。 特徴 憑依攻撃(敵単体に若干ダメージと確実に呪い。ウェイト?) 憑依回復(召喚者を回復。ウェイト?) 憑依付与(召喚者にランダムで付与。ウェイト?)が使える 敵の攻撃の対象になる その他情報 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2911.html
前ページ次ページベルセルク・ゼロ ルイズは朗々と歌い上げる。鈴が鳴るような透き通る声で。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール…」 その歌の名は『サモン・サーヴァント』。己が使い魔となる生物を召喚する呪文。 『トリステイン魔法学院』に所属する学生は二年生に進級する際、皆例外なくこの儀式を執り行う。 トリステイン魔法学院―――この『ハルケギニア』と呼ばれる世界に存在する大国の一つ、トリステインに作られた魔法使い養成機関である。 この学校において、今年二年生進級する生徒たちはこの儀式で召喚された使い魔によって自分の『魔法属性』を決定し、それぞれの専門課程へと進むのだ。 そして今日、その儀式を行うため今年二年生に進級する生徒たちは学院からおよそ2000メイル程離れた草原へと集められていた。 集められた生徒たちは円を描くように立っており、その円の中央で歌う桃色の髪をした少女を見つめていた。 少女の名はルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 『可愛らしい』という形容詞が文句なしに似合う、美少女だ。 彼女の二つ名は―――― ドムッ!! 突然ルイズの前方で爆発が起こった。爆風が地表の草や土を巻き上げる。 「けほっけほ…またかよルイズ! まったくお前は本当に『ゼロ』だな!!」 「サモン・サーヴァントもまともに出来ないのかよ! 落ちこぼれ!!」 土煙に巻き込まれた生徒たちから野次が飛ぶ。ルイズは土煙から目をかばいながら、悔しさで奥歯をかみ締めた。 そう、彼女の二つ名は『ゼロ』。ゼロのルイズ。魔法成功率0のダメダメメイジ。 それが彼女につけられた――極めて不本意な――二つ名だった。 周囲から罵詈雑言を投げかけられながら、ルイズはしっかりと爆心地を見つめていた。 祈りをこめて。 既に三度。三度もサモン・サーヴァントを失敗している。『サモン・サーヴァントを唱えられない魔法使い<メイジ>』などいない。 メイジにとってそれを行うことは、魚が海を泳ぐように、鳥が空を飛ぶように自然なこと。 つまりはサモン・サーヴァントを唱えられないメイジなど――― (お願い…! この際何の能もない視覚共有も出来ない秘薬探しも出来ないそれこそ炊事洗濯その他雑用位しか使い道の無い平民なんかでもいいから成功して!!) 煙が徐々に晴れていく。ルイズは目を見張った。 ―――ぼんやりと影が見えた。 ルイズは狂喜した。 やった! 成功した! これで少なくとも私はメイジだわ! でもちょっと待って。私は何を召喚したのかしら? 成功したとなると多少欲も出てくる。あの『雪風のタバサ』のように風竜を…なんて贅沢は言わない。 せめてサラマンダーを召喚して得意満面なツェルプトーに胸を晴れるような使い魔であればいい。 「張る胸なんてね~じゃね~か(笑)」って思った奴は後でちょっと来い。 ―――煙が晴れる。 ルイズの目が大きく見開かれた。 (……人間ッ!?) 草原に『黒尽くめの男』が仰向けになって倒れていた。 (確かに平民でもいいとは言ったけど…いや、言ったっていうか思ったんだけど……) いざそうなってみるとやはりショックがでかい。一応『生物』を召喚できたとはいえ、これは失敗となるんじゃなかろうか? そうしてルイズが己の使い魔となるその『男』から目を離して嘆息していると―――周りの生徒たちの間にどよめきが走った。 あ~はいはいそうですよ失敗しましたよ笑えばいいじゃない『風邪っぴき』。馬鹿にすりゃいいじゃない『洪水』。 どうせ私は『ゼロ』よ。『ゼロのルイズ』なのよ。ヴァリエール家の面汚しなのよ~~ってあれ? そこでルイズは気づいた。先ほどから聞こえる周囲のざわめきからは嘲笑や蔑みの響きは聞こえない。代わりにそこに含まれているのは『動揺』と『驚愕』。 何事かとルイズはもう一度己の使い魔となる『男』に目を向けた。 そのまま大きく目を見開いた。 『男』は『黒い鎧』を纏っていた。それだけではない。 黒いマントもつけている上、ここからではよく見えないが『左腕』まで肘から先が黒い。 『男』の『短い黒髪』とも相まって、まさしくその『男』は『黒尽くめ』と形容するにふさわしい。 よく観察してみれば、相当に鍛えられた体をしていることが伺い知れた。 しかし周囲のどよめきはそこに向けられたものではない。 草原に集まった生徒たちの目は――ルイズも含めて――その『男』の傍らにある『物』に釘付けになっていた。 それは、剣と言うにはあまりに大きすぎた 大きく、分厚く、重く、そして大雑把過ぎた ―――それはまさに鉄塊だった 男の名は『ガッツ』。 狭間の世界に身を置き、『守る』ことと『挑む』ことを魂に問い続ける『黒い剣士』。 前ページ次ページベルセルク・ゼロ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4060.html
ルイズ・フランソワーズ・ド・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは召喚のスペルを唱えていた 桃色のパンティをはいた彼女の尻は緊張のあまり汗に濡れていた、指でゴムをくいっと直す 出てきたのは紙の帳面だった、ルイズがそれに口づけをすると使い魔の刻印が1頁目に著される 翌朝、使い魔である帳面を持って自室を出たルイズを見た悪友キュルケが笑った 彼女のボリューム豊かな褐色の尻は、笑い声に同調するように妖しく揺れている その後、ルイズは同級生ギーシュの香水を拾ったことがきっかけで因縁をつけられる 彼は薔薇色のビキニショーツに包まれた白桃のような尻を振りながら決闘を挑む ルイズは夕べ帳面に書いた自分の夢をもういちど読み返すと、ヘンテコな呪文を唱えた 「チェイング!」 ルイズは変身した、黒い全身を覆うスーツ、平たい胸と顔面に桃色の装飾、そして翼 彼女はその使い魔、一冊のノートにより、幼い頃から密かに抱いていた夢を叶えた 正義の味方ウイング・ウーマンは、翼を広げ大地を蹴り、青銅のゴーレムに挑んでいく 黒いタイツに包まれその小ぶりな形を露にしたお尻が、彼女が跳躍すると同時にぷるんと揺れた ルイズがドリムノート召喚
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2232.html
前ページ次ページ使い魔エイト *サモン・サーヴァントだいせいこう! 使い魔召喚の儀式。 色々考えた末、コルベールは『ゼロのルイズ』の二つ名を持つ少女を一番最初にやらせた。 魔法成功率ゼロという偉業(?)をかんがみて、最後にやらせるという方法も考えないでもなかったが……。 ここ大一番の舞台というプレッシャーをかけることで、一発成功するかもしれないとも考えたのだ。 で、その結果。 「……」 自分の召喚したものに、ルイズは言葉を失っていた。 はたで見ていたコルベールも、他の生徒たちも。 それはドラゴンやグリフォンではなもちろんなく、サラマンダーとかバグベアでもない。また、カエルやネズミ、モグラでもなかった。 ましてや、どこか異世界からやってきたルイズと同年代の平民の少年でもない。 一言で言うならば、ひとかかえもあるような、四角い箱である。 そのように、ルイズたちは認識した。 けれども、もしもここにどこか異世界からやってきたルイズと同年代の平民の少年なんかがいたら、間違いなくこう思ったに違いない。 でっかいルービックキューブだ――と。 カラフルな部位で構成されたその箱は、ふよふよと宙に浮いていた。 「あ、あの……」 ルイズはぎぎぎと音を立てながら、救いを求めるようにコルベールを見る。 「おほん……。無生物が召喚されたというのは前代未聞ですが……。一応召喚成功と見てよいでしょう……。さ、ミス・ヴァリエール、使い魔と契約を――」 「で、でも……」 あれ、箱ですよ? と、泣きそうな顔でルイズは口ごもる。 「さすがゼロのルイズ、期待を裏切らない!」 「でっけえ、箱だな! 何が入ってるんだ?」 「まさか、人間の死体とか入ってないでしょうね?」 「じゃ、あれ棺おけかよ!?」 野次に対し、ルイズは反論する気力もなかった。 絶望を噛み締めながら、ルイズはふらふらと箱に近づいていく。 箱。でっかい箱。ふよふよ浮いてる箱。 それが自分の使い魔。 実家になんて言おう。 箱――これ、本当に箱か? 何か浮いているし……。もしかすると、何かのマジックアイテムかもしれない。 そんな微かな希望をこめて、ルイズは箱に触れた。 がちゃり……と、力のこめ具合のせいか、箱の一部が動いた。 これは――がちゃり、ルイズはさらに動かしてみる。 もしかすると、これ……普通じゃ開かない? そう思いつつ、動かし続ける。 後ろでは他の生徒たちがどんどん召喚を成功させているが、ルイズはだんだんと箱に熱中し始めていた。 そして、あることを推測する。 これって、箱のそれぞれの面を同じ色で統一させるんじゃあ? 統一させたら、どうなる? マジックアイテムという言葉が頭をよぎる。 そうだ、普通こんな浮いてる箱なんてありえない。すごく貴重なものを、この中に隠しているのでは!? きゅぴーん! ルイズの中で、希望の光が輝いた。 そして、ルイズは箱を――いやいや、ルービックキューブを動かす! 動かす! 動かす! ……いくばくかの時間経過。 他の生徒たちはというと、みんなどんどん使い魔を召喚して、とうとう最後の一人が召喚を終えていた。 「ミス・ヴァリエール……コントラクト・サーヴァントは終わりましたか?」 そうコルベールが声をかけたのと、ルイズが『パズル』を完成させたのは、ほとんど同時だった。 ヴオオオオオオオオ……! 箱が輝き、不気味な音が鳴り響く。 「これは……」 コルベールが自分の杖を握り締めた時、 <パスワード確認、パスワード確認> 「「しゃべったあ!?」」 ルイズとコルベールがハモる。 ガパア! 箱が突如として、分解した。 中から出てきたのは、人形……いや、人間の少年である。 年はまずルイズよりも下と見てよい。 少年の着ている奇妙な衣服――肩パット、手甲部、靴、そして後頭部に伸びるように立っている髪を結んだ球状のもの――にそれぞれ、触手のようなものが接続されていた。 前髪の部分と、後ろの球状のものに、8のマークが見える。 <ガーディアン・エイト、起動します> 声と同時に、それらは少年から切り離される。 そして、少年は――倒れた。 「ちょ……!」 とっさに駆け寄るルイズは、箱の残骸がすーっと消えていくのを見逃したが、コルベールはこれをしっかりと見ていた。 人形? ゴーレム? それとも、人間が何かの魔法であの箱に閉じ込められていたのか? ルイズは少年に駆け寄り、固まった。 「くかー、くかー……」 少年はただ寝ているだけだ。 「……この」 平和そうなその顔に、ルイズはちょっとムカムカした。 「ちょっと、あんた! 起きなさい!」 怒鳴りつけてみたが、一向に起きない。 ――もしかして……箱じゃなくて、この子が私の使い魔? 何ともいいがたい気分になる。 ――で、でも、でも! あんな風に箱に入ってたってことは……もしかすると、何かすごい力とかがあるのかもしれないわ! うん、そうよ! 多分……きっと、そうなんなじゃないかな? できればそうあってほしいな…………。 てな、葛藤をしつつ―― 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ――」 そっと、ルイズは少年にキスをした。 寝ている少年の左手に、使い魔のルーンが刻み込まれていく。 すると、髪の毛の球から、声がした。 <マスターの設定を変更します、マスターの設定を変更します…………。…………変更は無事終了しました> 「な?!」 その途端、ぐおんと少年が起き上がった。 少年はじーっと、ルイズを見つめる。 「な、なによ……」 「ごっつあんです!!」 バッと左手の手のひらを突き出すように、少年は珍妙な挨拶をした。 「……あ、あんた、誰?」 「エイト」 「エイト……? ふーん、そういう名前なんだ? で、あんた何であんな箱に入ってたの?」 「えーとね……」 「うん」 「わかんない」 「……あ、あんたね……?」 ルイズは頭をかかえたがすぐに気を取り直し、 「……もういいわ! とにかく、あんたは今日から私の使い魔よ!」 「わかった。おまえのつかいまになる!」 エイトは元気よく応える。 「や、やけに素直ね? ……って、お前ってなによ!? 使い魔のくせに、ご主人様と言いなさい!」 「ごしゅじんさま!」 「……わ、わかればいいのよ」 あまりにも素直なエイトの態度に、ルイズはちょっと調子を崩しながらも何とか平静を保つ。 横でコルベールがエイトのルーンを見て何か言ってたようだが、そのへんは聞き逃してしまった。 ルイズはおかしな少年・エイトを自分の部屋へと連れてきていた。 「まず、使い魔の仕事について説明するから、ようく聞くのよ?」 「ようくきく。はやくおしえろ」 素直な返事をするエイトに、ルイズは困ったような顔で嘆息した。 ――この子、本当に大丈夫なのかしら? もやもやとした不安を感じずにはいられなかった。 たとえ人間であろうが、使い魔として召喚した以上、メイジに服従するのは当然。 ましてや平民ならばなおさらだ。 それがルイズの認識である。 ならば、相手のこちらの言うことに従うのしごく当たり前で、戸惑うことなどありはしないのだが……。 その素直さゆえに、かえってルイズは戸惑っていた。 あまりにもこちらに従順すぎる。 言葉づかいや礼儀はアレだが、戸惑うとか、反抗するとか、そんなものが欠片も見えないのだ。 常ににこにこへらへらした表情で何を考えているのかわからないくせに、ルイズの言うことに恐ろしいほど忠実である。 だから、だろうか。 ルイズはこの少年の素性がひどく気になっていた。 これがもしも、どこか異世界からやってきたルイズと同年代の平民の少年とかだったりしたら、そんなもの考えずに、有無を言わさず服従をせまってであろうが。 道すがら、どっからきたのか? 親兄弟はいるのか? そんなことを尋ねてみたが、何を聞いても要領を得ない。 一応考える様子は見せるのだが、結局は、 「わかんない」 である。 ちょっと頭がおかしいのでは? と思ったりしたが、こっちの命令にはちゃんと従う。 ――まあ、反抗されるよりはいいか。 ルイズは不安を押しやりながら、ごほんと咳払いをする。 「まずはね……そう、使い魔は主人の目となり、耳となるの。つまり視覚や聴覚の共有………。無理みたいね」 エイトはぼへ~っとした顔で、ルイズを見ていたが―― 「めとなり、みみとなるってな~に?」 「わかんない? しょうがないわね……つまり、頭の見たり聞いたりしてるものが、私にも見えたり聞こえるようになることよ」 ルイズが答えると、 ピピピピ…………。 例の球からまた変な音がした。 「どうせできないんだから、いいんだけどね。……あのさ、ずっと気になってたんだけど、その髪の丸いの、なんな……」 言いかけた時、ルイズは違和感を感じた。 耳が、何か変だ。 さっき自分の言った言葉を、別の誰かが同時に言っていたような。 それに、目の奥に残像みたいに見える、このピンク頭の女はなんだ……? 「へ? これ……私?」 ルイズはハッとする。 感覚の共有ができている。 今、エイトの見聞きしているものが、ルイズにも伝わっているのだ。 「かんかくのきょ~ゆ~って、こういうの?」 と、エイトが聞いてきた。 「え、ええ。そうよ! なんだ、できるじゃない……! やっぱできるじゃない!」 ルイズは驚きながらも嬉しくなり、 「とりあえず、あんまり続けるのはアレだから、いったん切るとして……。次! 使い魔は主人の必要なものをとってくるの! 薬草とか、硫黄とか、秘薬の材料になるものを」 「やくそう? いおう? ひやく? ざいりょう?」 「……わからないわよね、あんた平民だし。それはいいわ。これはパスね。次が一番大事。主人を守ることよ!」 「ぼくは、ルイズをまもる!!」 エイトはうなずき、元気に返事をした。 「やる気はすごく感じるけど……」 今ひとつ頼りないわね……ま、しょうがないか。と、ルイズはため息をつく。 こんな子供に、護衛など期待できないだろう。 「後は……明日にしましょう。朝になったら起こして……それから」 ルイズは衣服を脱ぎ、エイトに放る。 「これ、洗濯しといて。そこの籠の服と一緒に……」 「せんたく?」 きょとんとした顔でエイトは動かない。 「……あんた、洗濯もわかんないの? 今までどんな生活してたのよ……。朝になったら、メイドにでもやり方教わりなさい」 「わかった。メイドにおそわる」 「なら……今日はもう休むわ。あんたは床よ」 ルイズは床を指差す。 「毛布くらいなら貸してあげ……って」 ルイズが毛布を持って声をかけた時には、エイトはひっくり返るようにして床に寝転がっていた。 すぴーすぴーと寝息をたてている。 「寝つきいいのね……?」 ルイズは呆然としながら、自分もベッドで眠りについた。 前ページ次ページ使い魔エイト
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4713.html
マジシャン ザ ルイズ 3章 (36)転機 駆ける、駆ける、二人は駆ける。 敵の居場所は分からない、ならば少しでも迎え撃つに適した場所へ。 申し合わせずとも、共に行き着いた結論は同様、二人は同じ方向へと走り続けた。 角を一つ、二つと曲がり、直線を走り抜け、赤絨毯が敷かれた回廊へと出たところで、急に後ろを走っていたカステルモールが立ち止まった。 「……もうすぐ追いつかれるでしょう。私はここで一度、《ヒドゥン・スペクター》を迎え撃ちます」 そうカステルモールは宣言した。 回廊といっても天井まで高さも、両脇の壁までの距離も広い。見晴らしも良く、姿無き追跡者を迎え撃つ場所としてはまずまず及第点が与えられるだろう。 「残念ですが、あれを一人で打ち倒すのは、私の力では難しいと言わざるを得ません。ですからシャルロット様はここで厨房に向かい、ご自身の杖を取り戻して頂けませんでしょうか」 という提案をした。 下手をすればタバサのことを足手まとい扱いしているとも受け取れる、飾らないカステルモールの言葉。 けれどそこには気遣いと、タバサを庇護するだけの対象ではなく、共に戦う戦士と認めたガリアの騎士の心意気があった。 「……貴方は?」 「私なら問題ありません。倒せずともあの程度の魔物、逃げ回るだけなら十分にこなしてみせます」 胸に手を当て、自信を込めてそう言い切るカステルモールに、タバサも頷いてみせる。 「……分かった」 タバサは残った貴重な時間を無駄にせぬようにと、即決に近い形でそう応えた。 再びタバサは駆けていた。鳥のように、豹のように。向かうは厨房、一直線。 衛兵はいない。頭に叩き込まれた地図に従って、タバサは厨房に向かう最短経路を、無造作に選択していく。 意図的に複雑にされた城を走る中、タバサの頭脳は立ち向かわねばならない《ヒドゥン・スペクター》攻略の糸口を必死に探していた。 (姿が見えない敵……どうすれば?) 人数がいれば、カステルモールが言ったように、逃げ場のない場所で広範囲攻撃を使って仕留めることができるだろう。 だがしかし、今立ち向かう戦力はタバサとカステルモール、二人しかいないのである。当然その方法は却下せざるを得ない。 ならばその姿を見つける方法を考えなくてはならない。 《ヒドゥン・スペクター》自体はかなり素早いが、その殺傷能力はかすれば死ぬといった凶悪なものではない。 ならばこそ、やはり攻略しなくてはならない最大の壁は透明化能力であった。 姿が見えぬ故、回避が遅れる。 姿が見えぬ故、攻撃が当たらない。 見えぬ何かを見つけられれば、対処はそれほど難しくない。 しかし、その〝何か〟が分からない。 《ヒドゥン・スペクター》の擬態に隙はない。油をかけて火をつけても返り血を浴びても、変化がないのは、そういった変化まで含めて透過してしまえるとしか考えられない。 足音や足跡が無いのは、本体は宙に浮いているからに違いない。 と、そこまで考えたところでタバサは見覚えのある通りに出た。 そのまま走り、蝶番ごと扉を破壊された入り口から、転がるようにして中へと入り込む。 そこはものがそこここ四方に散らばって、荒れ放題になった横長の部屋。立ちこめるのは油の臭いや酒の臭い、それに混じって何かが焦げたような臭いが鼻についた。 先頃、タバサと追跡者が一戦を交えた厨房である。 タバサは急いで奥までたどり着くと、直ぐに床に落とした杖を探した。 幸い、杖はタバサが放り投げたままの状態で床に落ちていた。 ほうっと一息、胸を撫で下ろす。杖を《ヒドゥン・スペクター》に破壊されているという事態も十分にあり得ると考えていたタバサにとって、これは非常に有り難かった。 杖を掴んで持ち上げる。 と、持ち上げたタバサの手に、何かが触れた。 見ようとするが、タバサ自身が照明を一つ落としてしまったために光量が足りない。それがなんなのかを目で見て確かめることはできない。 しかし、 (見えるものを……ではなく、見えないものを、探す……!) タバサの中で形作ってきた、これまでの実践と推測で形作ってきたパズル、それに最後のピースがカチリとはまり込む音が聞こえた。 「なかなかどうして、難しい……」 左手に杖、右手にサーベルを構えたカステルモールが低く唸った。 よれよれの制服は至る所が裂け、額には無数の汗が浮かんでいる。右腕からは一筋の血が滴り、サーベルの握りを塗らしていた。 前傾の姿勢を保ちながら、体を半歩左へと回して退く、その眼前を何かが通り過ぎていくのを目ではなく音で追いながら、カステルモールは右手のサーベルを、何もない宙へと高速で突き出した。 ヒュッという音を残してサーベルは空を切る。手応え無し。 続けざま折り返すように曲がった爪が、獲物を追って定めて再び迫る。 だがカステルモールはそれ以上の早さで体をそのまま右へとスライドさせて回避し、すれ違いざまにサーベルを突き出した。やはり手応えは無い。 そしてサーベルを引くより早く、見えない狩猟者の次の一撃が迫った。 早い、先ほどよりもなお早い。だが、カステルモールはそれ以上の速度で体をずらして回避すると、先ほど同様に見えぬ敵に向かってサーベルを振るった。 更に、一撃、二撃と同様のことが繰り返される。 当たらぬ攻撃にいらだちを感じているのか、地を這う爪の速度はどんどんと上がっていく。 負けじとカステルモールの動きも速度を上げる。すでにその動きは人の目に捕らえられぬほどの早さに達していた。 その早さは素早いという領域を越えて、人間が動作可能な範囲を大きく逸脱したものである。 タバサが連続で避けきるのは不可能と断じたそれを、カステルモールは紙一重二重の距離で避け続ける。 無論、何事もなく人の身でそのような動きができるはずもない。 では、いかなる手段をもって彼は、《ヒドゥン・スペクター》の動きについていっているのか。 その答えは、彼の左手に握られた杖にあった。杖は魔力を帯びてうっすらと発光している、つまり彼は今、魔法のバックアップを受けているのである。 そもそもカステルモールはその足を、完全に床に接地させてはいない。 僅かであるが彼の体は地上から浮き上がらせているのだ。そして足を動かさずに、体だけを右へ左へと移動させていた。 それは風の魔法『飛行』とよく似た魔法である。だが、ただ単に浮き上がる『飛行』と違い、カステルモールのそれは完璧に制御されており、ほんの僅かに地から足を浮かせているだけである。 そして何より、『飛行』に比べて早さが違う。 『飛行』では、熟達の術者であっても、これだけの早さで動き回ることなど不可能である。 そう言う意味では、その魔法は『飛行』とは全く違う別の魔法、呼び表すなら『浮遊』とでも言うべきものであった。 「やはり、この方法では無理があるな」 怒濤のような連続攻撃が終わり、再び静寂が訪れた部屋の中でカステルモールはそう呻いた。 すべての攻撃を大事なくやり過ごしたカステルモールであったが、その姿は先ほどよりも細かな傷が増えていた。 確かに『浮遊』の魔法を使えば、体を使って動くに比べて格段の早さを手に入れることができる。反応してから体を動かすまでに発生するラグが、この方法なら全くといって良いほど存在しないからである。 だが、それでもこの相手に対しては完璧な対処ではない。徐々に増えていく傷がそれを如実に表していた。 反応できれば避けられる、ならば反応すら出来ぬ早さが相手では、完全に避けきることができぬのが道理である。 加えて、この対処での最大の問題点は攻撃にあった。 カステルモールはちらりと視線を落として、その手のサーベルを確認した。 先ほどまで殺すという意志の体現として存在していたそれは、今では中程の場所でぽっきりと折れてしまっていた。 『メイジは同時に二つの魔法を使えない』その原則が、今カステルモールを苦しめていた。 使える魔法は一度に一つ、回避の為に『浮遊』を使っているカステルモールは、攻撃のために魔法を使うことができない。 もしもそんなことをすれば、半秒も経たぬうちに彼の体はばらばらにされてしまうに違いない。 「しかし、その為に選んだこの場所だ」 カステルモールは折れたサーベルを部屋の片隅に放り投げると、すぐさま壁に手を伸ばし、そこにあった新たなサーベルを一振り引き抜いた。 そう、ここには四方、至る所にありとあらゆる武器が用意されている場所である。 そんな所はグラン・トロワ中探しても、一種類数カ所しかない。 即ちカステルモールが《ヒドゥン・スペクター》を誘い込んだそこは、武器庫であった。 だが、それでも…… 「見えない、というのは厄介だな」 憎々しげに呟いた。 タバサがカステルモールと合流するよう打ち合わせてた武器庫にたどり着いたとき、カステルモールと《ヒドゥン・スペクター》の戦いは一段と激しさを増していた。 カステルモールは目で追うのが精一杯という速度で床を滑り、一方で追いかける爪は縦横無尽に床を走り回っている。 武器庫の床は刻まれた爪痕でずたずたに引き裂かれ、無傷な場所など探すだけ無駄であろう。 タバサがその光景に立ちすくんでいると、部屋の中から男の必死の叫びが放たれた。 「シャルロット様! この場はわたくし一人で十分です! 先へお進みください!」 明らかに虚言と分かるその声を聞いて、タバサの硬直が解けて消えた。 目を凝らしてみると、至る所に傷を負ったカステルモールの姿が見えた。手にサーベルは持っているが、防戦一方なのは明らかだ。 「シャルロ……ッ」 再びそう叫ぼうとしたカステルモールが、タバサの持っているものを見てぎょっとした。 彼女は手に、一抱えもある麻袋を持っていたのである。 そして、それを小さな体の力一杯で、勢いよく部屋の中へと投げ込んだ。 バフンッという重たい音を立てて、麻袋が床へと落下するやいなや、中に入っていたものが盛大に飛び散って飛散した。 暗がりで良くは見えないが、それは白い煙のようなものを発生させたのである。 「エア・ハンマー!」 続いてタバサの呪文がその袋に向かって放たれると、そこでようやくカステルモールにもその正体が分かった。 『小麦粉』である。 空中へ向かって小麦の白い粉が盛大に舞い散り、部屋もカステルモールをも白く塗りつぶした。 だが、その白く曇った空間に、ぽっかりと空いた、何もない、空間。 まるで風船をいくつも繋げて作ったかのような、奇っ怪な形をした不自然な空間。 見えるものを探すのではない、即ち、見えていないものを探すのだ。 「アイス・スピア!」 カステルモールが放った氷の凶器が、正確無比に、周囲の小麦粉まで透過していた《ヒドゥン・スペクター》を刺し穿った。 タバサは再び、一人で廊下を歩いていた。 王の間へと続く大回廊、今はちょうどその真ん中を歩いている。 先ほど共に魔物を退治したカステルモールは、今はそばにいない。 《ヒドゥン・スペクター》との戦いで激しく失血し、加えて地下牢に長く捕らえられていた為に体力が低下していたことも重なり、一時的に歩行が困難なほどに衰弱してしまったのである。 それでも、 『大丈夫です、問題ありません。どうかわたくしめに殿下をお守りさせてください』 と、カステルモールはしつこく言ってついて行こうとしたのだが、タバサがそれを許さずに、その場で休むように彼に言いつけたのである。 彼はそれに頑として従おうとしなかったのだが、やがて立ち上がることすらままならないことをタバサに指摘され、そこに至り不承不承その言葉に従ったのだった。 そうして歩くこと暫く、タバサはようやく目的の扉の前にたどり着いた。 ここに彼女が居るというのはただの予測でしかない。 もしかしたら彼女は別の場所で仕事をしていて、今頃は寝室に戻ってぐっすりと寝ているかもしれない。 だが、それでも彼女がここにいるに違いないという想いが、タバサを駆り立てて止まないのだ。 小柄な体に合わせた、小さな両手が扉にかかる。そしてそれを、ゆっくりと押し開いてゆくと、そこには 彼女が居た。 「ずいぶんと、遅かったじゃないのさ。おかげで随分と待ちくたびれたよ」 良く通る、朗々とした声。 迎えたその声の主は、部屋の一段高く据えられたの最奥で、座ったままにタバサを迎えた。 胸元が大きく開いた、ゆったりとした青い豪奢なドレスに、首からは大きな宝石がいくつも填め込まれたネックレスを下げ、手には王権を意味する古杖が握られている。 背中に流された絹のように艶やかで長い髪は、ガリア王族の縁者であることを示す青。その頭には王冠の代わりに、無数の宝石で飾られた白銀にきらめくティアラが乗せられていた。 だが、その下にある顔は、それらが与える高貴な印象には似つかわしくないアンバランスさでもって、見るものを困惑させる。 つり上がった細い目は彼女の髪と同じ色、相手を射すくめる氷のブルーアイ。 口元は粗野につり上がり、挑発的にして好戦的。 ハルケギニア一の大国と謡われる、ガリア王国の国王という、尊い器とはかけ離れた中身。 貴人の尊さと野獣の粗暴さを併せ持った娘。 彼女こそは、タバサが追い求めていた人物、『現・ガリア王国国王 女王イザベラ一世』である。 「はんっ。人形娘は相変わらず無愛想だね。ほんとその無表情、気味が悪い」 薄暗い照明、天窓から僅かに入り込んだ月の光がそれを補填する。 「上手いこと命からがら逃げおおせたっていうのに、自分からここに舞い戻ってくるなんてね。そのおつむは空っぽかい?」 肘掛けに頬杖をつきながら足を組んでいるイザベラが、くくくと笑いを含ませながら言った。 周囲に人影はない。衛兵も、侍女も、いない。 ここはがらんどうの大広間。 「私はここ暫く、お前のことが憎くて憎くて憎くて憎くて、いつもお前をどうやってくびり殺してやろうかって、そればっかり考えていたよ」 ここは余りに広い。 そして、あまりに哀しい。 そこには何もない。誰かの笑顔も、家族の暖かさも。本当に、何もない場所だった。 彼女はどれだけの時間、ここにいたのだろうか。どれだけの時間、自分を待っていたのだろうか。 そして、どれだけの時間、そうやって時を過ごしてきたのだろうか。 周囲から向けられるのは悪意と敵意、それに対して悪意と恐怖で返すしかない。 そんな彼女の苦しみを、自分は想像の中でしか分からない。 分からないけれど思うのだ。 そんなのは、あんまりだ。 誰からも望まれず、そして誰からも必要とされない。 そんな人生は、あんまりだ。 だから終わらせよう、そして変えに行こう。 その為の一歩を、最初の一歩を、勇気を持って自分から踏み出そう。 「……教えて」 「あん?」 初めて立ったばかりの、生まれたての子鹿のような、身を震わせた危うい、一歩。 そうやって、全てを塗りかえるための最初の歩みを、タバサは決意を込めて踏み込んだ。 「……城の人たちは、どこ?」 「さてね、どこだろうね。死んだ人間がどこへ運ばれていくかなんて一々聞いちゃいないよ」 ゆっくり、一歩、一歩と踏みしめて。 「……殺させたのは、あなた?」 「そうさ。あたしが命令して殺させたんだよ。どいつもこいつも無能ばかりだから、みんな殺してやったのさ」 イザベラは座ったまま微動だにせず、微笑すら浮かべて言った。 冷たい目だけはそのままに、口元だけを歪めて笑っていた。 「……楽しかった?」 「ああ、楽しかったさ。人が死ぬたびにみんなが私を認めてくれる」 進む、進む、一歩、また一歩とタバサは彼女の座るそこへと近づいていく。 彼女は、イザベラは、近づいている自分を、どんなふうに思いで見ているだろう、そんなことをタバサは思う。 「……カステルモールを牢に繋いだのは?」 「私だよ。折角お前を死んだことにして、邪魔なオルレアン派を黙らせたっていうのに、余計なことを他の連中に吹き込もうとしたもんだからね」 言葉を交わしながら、着実に彼女の元へと近づいていく。 彼女の瞳に、自分はどんな姿で映っているのだろう、そんなことをタバサは思った。 「……自分が殺したと言った?」 「その通り。あんたの薄汚れた服を使って、一杯食わせてやったのさ。そうしたらあいつ、悔しがって涙を流して私を罵ったわ。はは、実に面白可笑しかったわ」 さも愉快そうに笑うイザベラ。 その笑顔の下に、どんな表情があるのだろうか、そんなことをタバサは思った。 そうして歩き続けて、タバサはついに、イザベラの段下に立った。 「ふふん」 と、不適に笑う女王。 その表情、仕草、立ち居振る舞い、それらはタバサの知るイザベラと全く変わるところがなかった。 虚勢も、気負いもなく、ただただ彼女の自然体。 「………」 タバサは無言のままに、イザベラ姿を、顔を、その眼を見た。 多少疲れてやつれた様子はあるが、その眼光の鋭さは衰えていない。 「どうした、やるんだろう? 自分の復讐を果たすんだろう?」 そう言うと、イザベラは組んでいた足を戻して玉座から立ち上がり、その目がタバサを高みから見下ろす形となった。 「そしてお前は救国の英雄になる。いいさ、認めてやるよ、流血こそが歴史を作るのさ」 イザベラは両手を広げて、胸を張る、その表情は壮絶なまでに――笑顔。 「さあ、殺せよ」 自らの死を、まるで些事のことにイザベラは言ってのけた。 タバサを前にした彼女の姿はむしろ、威風辺りを払う堂々としたもので、それはこれまでタバサの見てきたどんな彼女よりも、輝いているように見えた。 その姿を前にして、タバサのするべきことは一つだった。 タバサに遅れること数分、カステルモールは体を引きずるようにしてピロードの絨毯を渡り、王の間へと続く扉の前へと到着していた。 カステルモールは重くのしかかる疲労を背にして、心ばかりが焦っていた。 囚われの生活で弱った体に、鞭打って戦ったまでは良かったのだが、情けなくも《ヒドゥン・スペクター》相手に戦った直後に、あえなく力尽きてしまったのである。 主人を守るべき騎士が、今ぞ主人が最大の敵に立ち向かわんとする場面に、駆けつけ参じられないとなれば、それ即ち騎士の名折れ。 例え休息を命じられていたとしても、その場にじっとしていることなど、忠節を誓った騎士カステルモールにできようはずがない。 そうして彼はその身を押して、タバサを追いかけここまで辿り着いたのである。 「シャルロット様……!」 そう呟いて、両開きの大扉に手をかける。 扉の向こうで、どのような未来が広がっているのか、そんなことを思うだけで、カステルモールの心臓は留めようもなく、うぶな娘のように早鐘を打った。 真なる主人の帰還に、新たなる王国の夜明けに、抑えがたい期待が高揚感を伴う衝動となって、その体を駆け巡る。 そうしてカステルモールは、疲れも忘れて、両腕に力を込めてその扉を開け放った。 そんなカステルモールを出迎えたのは……、 床に膝を折って、恭しく両手で杖を捧げ持ち、深く頭を垂れた主人の姿。 そして、彼女の発した、想像を絶する言葉であった。 「……わたくし、シャルロット・エレーヌ・オルレアンは、この杖を、女王イザベラ一世、あなたに捧げます」 、と その時、カステルモールは己の足下が崩れていくような感覚を味わった。 そのとき二人の間に、どのようなやりとりがあったかは分からない。 けれどそれが、彼女が望んだ彼女の未来だったのは確かである。 ――――バッソ・カステルモール「氷の姉妹」
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7217.html
前ページ次ページアノンの法則 「ん~~~~~~~~~~~~っ」 すがすがしい朝。 窓から差し込む太陽の光で目を覚ましたアノンは、思い切り伸びをした。 今日から、この魔法の世界での生活が始まる。 だが、そろそろ他の生徒達も起き出しているだろう時間にもかかわらず、アノンのご主人様となる少女は、まだ夢の世界にいた。 「ルイズー」 返事がない。 「ご主人様ぁー」 呼び方を変えてみる。まだ起きない。 「ごーしゅーじーんーさーまー」 今度はペシペシと顔を叩きながら呼んでみた。 「んん……っ!? な、なによ! なにごと!」 目が覚めたら、いきなり顔をペシペシやられている事態に驚いて、ルイズはベッドから跳ね起きた。 「朝だよ。ルイズ」 「はえ? そ、そう……。って誰よあんた!」 ルイズは寝ぼけた声で怒鳴った。 「アノンだよ。キミが呼んだんだろ?」 「ああ、使い魔ね。そうね、昨日、召喚したんだっけ」 ルイズはのろのろと起き上がり、あくびをしながらアノンに命じる。 「服」 アノンは椅子にかかっていた制服を渡した。ルイズはだるそうにネグリジェを脱ぎ始める。 「下着」 「どこ?」 「そこのー、クローゼットのー、一番下の引き出しに入ってる」 ルイズの寝ぼけた声に従い、アノンはクローゼットを開けて、適当な下着を渡す。 下着を身につけたルイズが、再びだるそうに咳く。 「服」 「さっき渡したよ」 「平民のあんたは知らないだろうけど、貴族は下僕がいる時は自分で服なんて着ないのよ」 「これから毎朝、ボクが着せるのかい? 面倒だな……」 「あっそ。生意気な使い魔にはお仕置き。朝ごはんヌキね」 「…話が違うよ。昨日、衣食住は面倒見るって言ったじゃないか」 「それもご主人様の言うことを、よく聞いてたらの話よ」 不満気なアノンに、ルイズは指を立て、勝ち誇ったように言った。 アノンは少々納得がいかなかったが、まだこちらの世界のことは何も知らないのだ。 とりあえずは従っておこうと、慣れない手つきでルイズのブラウスのボタンをはめていった。 ルイズと部屋を出ると、狙ったようなタイミングで、隣の部屋のドアが開き、中から燃えるような赤い髪の女の子現れた。 彼女はルイズを見ると、にやっと笑った。 「おはよう。ルイズ」 ルイズは顔をしかめると、嫌そうに挨拶を返した。 「おはよう。キュルケ」 「あなたの使い魔って、それ?」 キュルケと呼ばれた少女は、アノンを指差して、バカにした口調で言った。 「そうよ」 「あっはっは! ほんとに人間なのね! すごいじゃない!『サモン・サーヴァント』で、平民喚んじゃうなんて、あなたらしいわ。さすがはゼロのルイズ」 「うるさいわね」 キュルケは面白そうに、アノンを見つめた。 「あなた、お名前は?」 「ボクはアノン。よろしく」 「アノン? ヘンな名前。その顔の刺青は?」 「これは生まれつきだよ」 「ふーん……ヘンなの」 それだけで、キュルケはアノンへの興味を失ったようだった。 すぐにルイズに向き直る。 「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って、一発で呪文成功よ」 「あっそ」 「どうせ使い魔にするなら、こういうのがいいわよね。フレイム!」 キュルケは、勝ち誇った声で使い魔を呼んだ。キュルケの部屋からのっそりと、真っ赤で巨大なトカゲが現れた。 尻尾の先がたいまつのように燃えるトカゲは、そこにいるだけでむんとした熱気を放っている。 「これって、サラマンダー?」 ルイズが悔しそうに尋ねた。 「そうよ! 火トカゲよ! 見てよ、この尻尾。ここまで鮮やかで大きい炎の尻尾は、間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ? ブランドものよー。好事家に見せたら値段な んかつかないわよ!」 上機嫌で自慢するキュルケ。 「わぁ、尻尾が燃えてる」 アノンはフレイムを見るなり、目を輝かせながら駆け寄ろうとする。 フレイムが口を開けて、アノンに小さな火炎を吐いた。 「おっとと。へー、火も吐くんだ」 「ちょ、ちょっとツェルプストー!? 危ないじゃない!」 「平気よ。あなたも知ってるでしょ? 使い魔は主が命令しない限り、人を襲ったりはしない…ってあら?」 キュルケの言葉とは裏腹に、フレイムは身を屈め、口の端から炎をこぼしながら、低い声で唸っていた。 威嚇している。いや、それどころか、今にも飛び掛りそうだ。その視線の先にはルイズの平民。 「震えてる…?」 よく見るとフレイムの体が、小さく震えているのに気がついた。 一体、この平民の何に怯えているのだろう。 「早くそいつ連れてってよ!」 フレイムの異変の原因はわからないが、自分の使い魔が、召喚した翌日に人を襲うなどシャレにならない。 キュルケはフレイムを連れて、慌ててその場を後にした。 キュルケがいなくなると、ルイズは拳を握り締めた。 「くやしー! なんなのあの女! 自分が火竜山脈のサラマンダーを召喚したからって! ああもう!」 「そんなに大事なの? 召喚って」 「そうよ! メイジの実力をはかるには使い魔を見ろって言われているぐらいよ! なんであのバカ女がサラマンダーで、わたしがあんたなのよ!」 「でもあのトカゲ、様子が変だったね…。そうか、あのトカゲにはボクが人間じゃないってわかるんだ。ボクと一緒で勘が鋭いんだなぁ」 「あんた、まだそんなこと言ってるの?」 「ホントのことだからね。ところで、あの人、ゼロのルイズって言ってたけど、『ゼロ』ってなんだい? 苗字か何か?」 「違うわよ! わたしの名前はルイズ・ド・ラ・ヴァリエール。ゼロはただのあだ名よ」 「ふぅん…どういう意味?」 「知らなくていいことよ」 ルイズはバツが悪そうに言った。 そしてアノンはルイズに急かされ、『アルヴィーズの食堂』へと向かった。 前ページ次ページアノンの法則
https://w.atwiki.jp/otassya2/pages/4669.html
陰陽師 攻撃術 式神召喚・弐 目録 召喚術・参 必要気合 840 必要アイテム 呪符 ウェイト 2 効果時間 式神が倒れるまで 発動準備 なし 使用場所 戦闘専用 効果 ランク2の式神を召喚し、ともに戦わせる。 特徴 憑依攻撃(敵単体に若干ダメージと確実に呪い。ウェイト?) 憑依回復(召喚者を回復。ウェイト?)が使える 敵の攻撃の対象になる その他情報 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/aoari/pages/6325.html
陰陽師 攻撃術 式神召喚・弐 目録 召喚術・参? 必要気合 840 必要アイテム 呪符 ウェイト 2 効果時間 式神が倒れるまで 発動準備 なし 使用場所 戦闘専用 効果 ランク2の式神を召喚し、ともに戦わせる。 特徴 憑依攻撃(敵単体に若干ダメージと確実に呪い。ウェイト?) 憑依回復(召喚者を回復。ウェイト?)が使える 敵の攻撃の対象になる その他情報 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/nolnol/pages/4958.html
陰陽師 攻撃術 式神召喚・弐 目録 召喚術・参 必要気合 840 必要アイテム 呪符 ウェイト 2 効果時間 式神が倒れるまで 発動準備 なし 使用場所 戦闘専用 効果 ランク2の式神を召喚し、ともに戦わせる。 特徴 憑依攻撃(敵単体に若干ダメージと確実に呪い。ウェイト?) 憑依回復(召喚者を回復。ウェイト?)が使える 敵の攻撃の対象になる その他情報 名前 コメント